テックビューロー(大阪市)は、新規仮想通貨公開(ICO=Initial Coin Offering)の支援サービス「COMSA」を10月にも始めるとの発表を行った。
ICOは、IPO(Initial Public Offering)の類推させる命名であり、株式ではなく仮想通貨(コイン)を利用する資金調達手段として、米国でかなりの資金を集めている。

今年に入り7月半ばまでに11億ドル(1200億円以上)の資金調達がおこなわれており、昨年2016年の10倍以上に達している。
2017年6月までの1年間でICOにより調達した資金は、VCによる調達資金を上回っている。

日本では、今年の4月に資金調達法が改正され、仮想通貨が規制の対象となっており、ICOができる環境が整い始めた矢先での発表でした。

日本でも、ICOは成功するのか?

先日のビットコインのシステム変更による利用停止など、まだまだ不安定な状況を脱しておりませんが、
果たして、この先どのような展開が予想されますでしょうか?
COMSAのサービスは、企業が独自に発行できる仮想通貨(CMSトークン)を、EthereumやMEMを使って購入することが可能です。投資家は、上場後に、CMSトークンを売却してキャピタルゲインを得たり、他のICS案件に対してCMSトークンを5%プラスで利用できるなど、様々なメリットがあります。

世界中から資金調達が可能であり、調達期間が数週間から数か月という極めて短い期間で、IPOに比べてもメリットが大きいと考えられます。

それでは、このサービスは今後普及するのか、資金調達のメイン街道へと躍り出るのか?
そのためには、ホワイトペーパーなどを見てみなければなりません。

他のサイトでホワイトペーパーを「目論見書」のようなものとして紹介されていましたので、COMSAのサイトに行ってダウンロードをして確認してみました。
IPOの際には「新規株式発行並びに株式出届出目論見書」の発行が義務付けられております。証券会社はBB期間中に投資家に目論見書を渡すなども徹底されています。
ホワイトペーパーには会社の業績とか、株主構成、今後の予想、リスク事項などが記載されているのかと思っておりましたが、
COMSAの説明資料に過ぎません。
それでは、投資家は何をもって、会社の将来性を判断すればよいのでしょうか?

COMSAのホワイトペーパーを読んでいて、いくつか気になる点がありました
①トークンの発行の上限はありません
→希少価値がありません、ICSトークンが大量に発行されれば、価格は上がりません。むしろ、テックビューロー社や経営陣が売ることで値段は下がってしまいます。ロックアップ期間を設定するなど、投資家保護がなされていません。
②ICS参加者の発行量に対して2倍の発行量となります
→買った時点で評価が半分になっています。世界的に見ても、このような仕組みはかなりレアケースのようです。
③中央集権の仕組みそのもの
→ブロックチェーンなどの非中央集権的な要素技術を使い、堅牢で安全性の高いシステムを構築していると書かれていますが、中央集権システムそのものです。将来的には非中央集権的なシステムを目指すと書かれていますが、よくわかりません。

現存する仕組みとしては、「IPO」よりも「クラウドファンディング」に近いと感じました。当然、監査などはありません。
IPOでは、金融庁監視のもと、証券取引所や証券会社、監査法人など、様々な機関が、事業や数字の確からしさを証明して、投資家の保護に努めています。その準備期間も3~4年と長期の期間になります。
それを数か月で、特別の審査もなく、億単位のお金が集められるのであれば、企業側としては是非とも参加したいスキームとなるでしょうね。
恐らく、これは投資ではなく、投機に近いものでしょう。
仮にそうであっても、パチンコや宝くじなどの公共ギャンブルよりも、リスクが低く、ボラティリティーも大きく、金余りの続く企業や個人投資家が大量に参入する可能性が高いと思います。

ホワイトペーパーを読む限りでは、かなりCOMSA運営のテックビューロ側の都合の良い内容が並べられているだけのように感じましたが、最初はバブルのようにCMSトークンの価格が上がるのではないでしょうか?
そのうち、類似のICSサービスが他の仮想通貨取引所などでもスタートされ、COMSAの運用ルールも見直されるのではないでしょうか?

また、別のサイトで、The DAOの事件について、2017/7/25にSEOが「有価証券にあたり規制対象となる」との指摘に対して、「SEOや各国の規制対象にならないような種類のトークンの種類にする必要がある」との回答も、投資家保護などの考え方はあまりないのはないかと感じました。

本来は、ブロックチェーンの非中央集権的なシステムを活用して、社会システムそのものを大きく改善する、そのような目的でブロックチェーンに大きな期待がかかりました。
それなのに「金儲け」に走りすぎて、おかしなことになってしまっています。
いずれは、金融庁において、明確なICOのルールが確定されることになるでしょう。

それまでにお金を儲けたいと思う人は、レバレッジ無しで参加されてはいかがでしょうか?



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