東洋経済2017/7/15号で特集「新 借金地獄」が組まれている。
特集では、”銀行カードローン”、”奨学金”、”ZOZO TOWN ツケ払い”、”住宅ローン”、”ギャンブル依存症”、”破滅しないための借金術”など、多角度的に、借金問題を分析しており、かなり読み応えがあります。

元々、このブログは、「奨学金問題の解消」を主要な目的として書き始めました。
それ故に、この問題は、見逃すことができない。
まずは、私なりの視点で、「奨学金問題」を見てみたいと思います。


この特集では、いかにも、奨学金を運営している”独立行政法人日本学生支援機構”を中心とした、奨学金制度の運営側が悪者であり、学生はいかにも「騙されたかわいそうな人」として、被害者としての視点で書かれている。

カードローン特集のページでは、楽天銀行にカードローンを申請した人が、すぐにお金を準備したことに対して
「よくぞ貸してくれたと楽天銀行に感謝しました」と書かれています。
奨学金を申請して大学なり専門学校への進学が可能となったときに多くの皆さんは、同じように「よくぞ貸してくれた」と感謝したのではないでしょうか?
カードローン特集で先の言葉に続く、次の言葉が
「ただ今振り返ると腹立たしい。あんな状態の私に何で200万円も貸したのか、と。貸してくれなかったら諦めることもできた」
と感謝の気持ちが”恨み”の気持ちに変わってしまっています。

まったくもって、奨学金返済している人たちと同じ気持ちではないでしょうか?
「奨学金を貸してくれなかったら、大学・専門学校と進学をあきらめることはできた。それなのに300万も400万も貸すから今、苦労している。どうして貸してくれたんだ・・・・」
全く、同じ論理です。

奨学金の申請をする際に、
「給付ではありません、貸与です。必ず全額返済しなければなりません。奨学金の種類によっては利子が発生します。この約束を守れる方のみが申請ができます」
このように説明を受けているはずです。仮に説明を受けていないといわれても、申請する際の書類に明記されているはずです。これを承諾したうえで申請おこなっているはずです。
今頃になって「聞いてなかった」「知らなかった」などととぼけるのは止めていただきたいと思います。

また、奨学金事業を運営している独立行政法人日本学生支援機構を、”金融事業に変わった”と非難するのもどうかなと思います。
利子無や有利子でも低金利で、極めて慈善事業のような対応で、経済的に苦労している学生の皆さんのことを思っている団体に対して、非難しても何も解決するのものではありません。
次年度以降は「給付型奨学金制度」を始めることが決まりました。
経済的に苦しくても、学業成績優秀で将来性のある学生を一人でも多く救済するための手段です。
ただし、救済される学生の数は限らております。財源もそこまで潤沢にあるわけではありません。

これらの問題は、借りた後になって「返せない」と慌てるのではなく、
・借りない方法はないか?
・借りたとしても、大学卒業時には借金がないようにする方法はないか?
これらをしっかり計画して、取り組む必要があると思います。

現在大学や専門学校に通っている学生の50%以上が、奨学金を借りているのが現実です。
だから簡単に「うちも借りよう」と安易な気持ちで、奨学金に手を出し、その後の人生を棒に振ってしまうような悲惨な現実になっているのだと思います。

まずは、その「奨学金は必要ですか?」「借りないで進学する方法はないか?」
これらを徹底的に議論して、そのうえで、前に進んでほしいと思います。

私は貧乏自慢をするわけではありませんが、
父親の年収は200万円台で、兄弟4人で、財産もほとんどありませんでした。
高校進学の際も「働け!」と何度も父親に言われましたが、地元の公立高校に通い、その後国立大学にも進学しました。アルバイトと授業料免除を受けることで、結局1円も奨学金を借りずに大学を卒業しております。
ちなみに弟は新聞奨学金で新聞配達をしながら大学を卒業しております。

お金を借りることで、「経済的に負担が減り学業に専念できる」このようなことが奨学金を借りている理由の一つであると思いますが、アルバイトの時間も全くないくらい時間を切り詰めて学業に専念している学生をほとんど見たことがありません。
確かに、医学部や理系学部の学生はアルバイト時間はほとんどないとは申しますが、24時間勉強勉強に明け暮れる人はそこまで多くはないでしょう。
司法試験や公認会計士試験を受験する学生は、かなりの時間を学業や受験勉強に集中しないといけないと思いますが、それ以外の学生はアルバイトの時間くらいあるでしょう。

奨学金を安易に借りないでください。
結婚や出生数まで影響するならば、なおさらです。

高校卒業後に1年間働き300万円ほと貯金してから大学に行っても遅くはありません。
以前、奨学金かかわる文章をいくつか書かせてもらいましたので、そちらのほうも紹介させていただきます。


借金から脱却しよう!「アリとキリギリス」イソップ


そのままでいいんですよ。「嫌われる勇気」アドラー

失敗や困難は、成功のためにあるのです。 「”艱難汝を玉にす” 到知3月号より

職業の道楽化「私の財産告白」 本多静六

蓄財の奥義 「貧となり富となる。偶然にあらず」 二宮尊徳



奨学金は借金か?幸せへの道なのか? 「告白」J.J.ルソー

どうして貯金ができないのか? 「花鏡」世阿弥

”日々のお金を残すために” 「この道」はいつか来た道 山田耕作/北原白秋

恋愛と貯金と ”まだ見ぬ人のこいしきは・・” 藤原定家

こんなに好きなのに、結婚できないのですか? 「下流の宴」林真理子





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