ロシアの小説家の小説を読んでいると、没落した貴族の話がよく出てくる。
立派なお城のような豪邸に住んでいた貴族は、ある時を境に、乞食のような生活を強いらている。
そんなお金をにまつわる話は、あくまでの異国の地のフィクションと思っていた・・・・

光通信は、購入翌日よりストップ安となった、翌日も、その翌日も・・・
24万円まで戻すとは思っていなかったが、せめて2~3万円でも戻せば売却して、資金を作るために次の手を打とうと思い、勝負に出た銘柄がこの惨状である。

「このままでは追証になりかねない」
と考えると気が気ではなかった。


以前証券会社に勤めていた知人から聞いた話を思い出した。
「何人も何人も、株式暴落で資産を失い、家族を失い、全てを失った人を沢山見てきた。
上昇相場では、信用買で資産を何倍にも増やして、意気揚揚ですが、一転暴落になると、追証が発生し、現金が足りず、消費者金融などに駆け込み・・大量の借金だけ残し、最後に自己破産して・・・
だから、こんな仕事を2度とやりたくないと思い、転職しました」
残酷な投資家の話を思い出すことで、身が引き締められた。

メイン証券会社はD証券とN証券であった。
D証券では信用取引をおこなっていたが、N証券ではおこなっていなかった。
N証券の担当者からも何度も信用取引を勧められていたが、リスクを軽減するために現物買いにとどまっていた。
4月以降、N証券の株式を中心に少しずつ売って現金を作っていった。
IT関連株は下がっているが、日経平均はまだ2万円台を維持しており、そこまで悪い相場ではなかった。
もしかしたら、さらに上値を狙えるのでは・・・・とまだその時はわずかな希望を持っていた。

4月17日大暴落発生。日経平均が1400円の安値となり、史上最大の下げを記録。
この日に資産は一日に1700万円も減った。
前職時代に10年かけて1800万円コツコツ貯金をしたが、たった1日で10年分の資産を失った。
何も言葉がなかった・・・・
ニュースや新聞では、個人の追証問題が大きく取り上げられている。

そして追証が発生した。
資金集めに走り回った・・・売って、売って、売った。
N証券分の資金が少しでもあったので、暴落の荒波の中で、ロープに手が届いた。
信用分は全て処分した。
荒波にもまれながらも、何とか命がつながった。
「生き残った」
言葉が無かった・・・

3月30日に信用買いした、光通信はその後も下げ続け、「20日間連続ストップ安」の記録を作り、
今もその記録は破れていない。

きっとその時の、私自身は姿は顔が蒼白になり、かなり異様に見えたと思う。
それでも生き残った、
「本日も晴天なり」
あえて、この言葉を選び、冷静に何事も無かったのように振る舞う以外、他に方法がなかった。


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