ニーチェは『ツァラトゥストラはかく語りき』の中で、”神は死んだ!”と宣言をします。これは、長い間西洋文明において信じられてきた、キリスト教や、ソクラテス以降の哲学や道徳を背後で支えてきた思想の”死”を意味していました。絶対と思われてきた、”神”のステータスが、今まさに崩れ落ちようとしております。

今年の大学生の就職希望ランキングを見てみますと、銀行の人気ぶりは盤石です。特に都市銀行への就職希望者は多く、ある統計によるとベスト10の中に3行が入っております。今も昔も、銀行への”信頼”が厚いことを証明しているものと思われます。
そのような中で、巷では、フィンテックが叫ばれており、金融の世界も変化が求められており、これまでの金貸し業を継続しているだけでは、商売ができなくなっているのも事実です。フィンテックとは、「finance(ファイナンス)」と「technology(テクノロジー)」を合わせた造語で、ファイナンス・テクノロジーの略です。金融の世界に、ITを革新的に組み込むことで、既存の金融機関が持つ総合的な金融サービスのうち、顧客が必要とする一部の機能のみに特化することで、低コストでサービスをおこなうことです。
このフィンテックにはお金とIT知識が必要です。金融機関だけでは対応ができませんので、多くの都銀は、ITベンチャー企業などに資金を提供することで、そのIT技術や人材を取り込み、金融機関の仕組み自体を変革させようとしております。かつての、お役所的な体質の銀行業から、大きく変革をしようとしております。



また、日銀のマイナス金利発表後に、銀行は大きく変革しようとしております。
これまで銀行は日本銀行にお金を預けることで0.1%の利子をもらっておりました。それがマイナス金利になると、
銀行が日本銀行にお金を預けると、0.1%の金利を支払うことになりました。
銀行は、企業や個人への融資で、利子を得ておりこれを財源の中心としております。また、日銀からから受け取る利子も、仮に1000億円預けていたとするならば、これまで1億円の利子収入が、1億円の支払いとなりかなりの影響を受けております。
マイナス金利に伴い、企業や個人への利率も低くなり、銀行経営はいよいよ変革なしには厳しくなっております。

6月3日のNHKニュースによると「地方銀行決算 マイナス金利の影響などで14%減益」
このような記事が出ております。
地方銀行決算 マイナス金利の影響などで14%減益(2017/6/3)
資金力があり、優良企業とつながりがあり、さらに様々人材を抱え都市に本社機能を持つ都銀は素早く動くことができました。フィンテックにおける、ITベンチャー企業の取り込みもその一例です。その一方で、地銀は、次の戦略が打てず、ズルズルと経営が悪化しております。
先のNHKEニュースでにも、三重県や新潟県において、地銀統合に向けた動きが始まっております。少子高齢化において、都市部の人口は大きく減っておりませんが、地方の人口は減少率は大きく、いよいよ地銀の運営が厳しく追い込まれております。

だからと言って、地銀も指をくわえて持っているばかりではありません。
保険や投信の販売から始まり、最近では、M&Aや事業承継の案件にも積極的に取り組もうとしていおります。しかし、どれも専門におこなっていた人材が手薄であり、保険や投信の販売なども、もともとそんなに儲かる商品ではありません。
銀行の得意としていた、住宅ローンについても、利子の低下でなかなか収益を上げるのが難しくなりました。

そんな中で、今銀行において、有望な商品が見つかりました。「カードローン」です。
銀行はもともと、お金を企業や個人に貸して、その金利を主要な財源として運営されておりました。さらに、銀行は信頼があります。地方においては、有望な企業が少ないため、大学文系卒業者の多くは地銀への就職を希望する人が多いです。住民の信頼が厚く、給料もよい銀行員は、社会の注目の的であり、地銀の銀行員との結婚を希望する女性も多いでしょう。
その銀行が勧める「カードローン」が失敗するわけがありません。

2006年に貸金業法が改正されて、総額で借手の年収の3分の1を貸出額の上限とすべしという「総量規制」が設けられました。これは、消費者金融の多重債務者が大量に発生し、これが社会問題となり、消費者金融の営業を規制するために決められた法律の改正です。
総量規制によって、年収が600万円の人は総額で上限200万円までしか、お金が借りられません。年収が基準となっているため、主婦や学生、年収の不安定なアルバイトなどはお金が借りられない仕組みになっております。消費者金融の会社は、いつの間にか社会において「悪」の象徴のように思われて、忌み嫌われていたように思います。結婚相手が”消費者金融”に務めているというと、あまりいい印象は与えませんが、”銀行”というだけで、なんとなく信用してしまう。そのような風潮があると思われます。
金を貸しているのは、消費者金融も銀行も同じです。それなのに、昔ながらのイメージだけで、このような違いが発生しています。

銀行の貸し出し審査は厳しく、担保や保証人を立てるなど、お金を借りるまで結構時間がかかるものです。
その銀行が、
「初めての人でも30分の審査で貸し出します」
「カードが無くても貸し出しOK」
なんとサービスが改善されたことでしょうか!
ファウストがメフィストフェレスに魂を売ってしまったように、銀行はより金利が高く収益が期待できるカードローンを積極的に取り組み始めました。その業績は着実に伸び始めております。

「総量規制」は現在、消費者金融業者に適用されおり、銀行には適用されておりません。
この法律の”抜け穴”を活用することで、銀行はカードローンで利益を出し始めています。無担保ローンの営業経験のない銀行は多くの場合、銀行の顔でお金を貸し、債権回収などについては、消費者金融がおこなっているこの仕組みが一般的であるようです。
この問題が社会問題化しつつある現在も、銀行は積極的にカードローンを推進しています。

主婦も学生もアルバイトも、簡単にお金が借りれます。
例えばバイクローンなどは、未成年であれば「親の承諾」が絶対条件となります。20歳以上であっても学生の場合は、一定の収入がないのでバイクローンは組めません。
一方カードローンであれば、年収証明も親の承諾もなく簡単にお金が借りられます。なんとサービスが良いのでしょうか!
カードローンの金利は最大で18%ですが、ちょっとだけと、ほんの軽い気持ちで借り始めて、その後どっぷりとのめり込む人が多いようです。

見た目は昔ながら信用の象徴である地方銀行ですが、今は火の車の真っ只中におり、やがてカードローンに規制がかかりさらに経営は厳しくなると思われます。
それとともに、カードローンによる自己破産者は急増しており、2016年は13年ぶりに前年を上回り、自己破産者の数が急増しております。このまま「総量規制」の適用範囲に銀行を含めないと、ますます自己破産者が増えることはほぼ確実であると思われます。

奨学金問題は、これまで何度も取り上げてきましたが、金利の上限は3%です。一方、カードローンは下限が3%で上限18%と大きな開きがあります。だからと言って、奨学金を推奨しているわけではありませんが、カードローンによる地獄は始まったばかりで、これから大きな問題に発展すると思います。
特に、信頼の銀行から、学生が簡単に借りられる点なども、危険に満ち溢れています。

かつて信頼の象徴であり、絶対と思われていた銀行のステータスは、今まさに崩れ落ちようとしております。
腐っても鯛とはもうしますが、それでも
「アナタ ハ ギンコウ ヲ シンジマスカ?」


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