今、話題の経済産業省 次官・若手による

不安な個人、立ちすくむ国家
~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~

www.meti.


を読んでみました。
書いている内容は大きく、以下の3点です。
①高齢者への予算を削減しろ
②若者への教育投資額を増やせ
③公的機関ではなく、民間を活用しろ

ごもっともな意見は多いのですが、対処療法的であり、根本的な問題解決にはならないのではないか?これが心配です。
恐らく、今回のプロジェクトに参加している「若手、次官」の方々は、20~30歳代・高学歴で優秀な成績で比較的裕福な環境で育った方が多いと推測されます。ヒアリングした方々も、東京大学をはじめとした、大変頭の良い方々ばかりであり、世間一般の意見を反映しているわけではないと思われます。





最後のまとめで書かれている
「日本は、アジアがいずれ経験する高齢化を20年早く経験する。
 これを解決していくのが日本に課せられた歴史的使命であり 挑戦しがいのある課題ではないか。 」
この点についてもそうですし
「2度目の見逃し三振はもう許されない」
ごもっともですが、”何故、このようになったのか”、”その原因”にメスを入れていかなければ、解決はできないと思います。

高齢化社会、歪な人口ピラミッド(60歳代後半が一番多い)これは結果であって、
「高齢者は一日中テレビを見ているので、働かせろ、年金を減らせ」は暴論であるように思います。
70代ー80代の世代は、現在の日本の発展を支えてきてくれた功労者です。裕福な人もいれば生活に苦労している人もいます。裕福な高齢者が再投資するような仕組みがあれば、お金は回っていくと思います。

何故、高齢化社会になったのか?
何故、子供は産まれないのか?
何故、結婚をしないのか?
何故、結婚希望者は多いのに、結婚が成立しないのか?

上野千鶴子さんが中日新聞で「もう子供の数は増えない、移民受け入れしかない」と発言をして、かなり話題になっておりましたが。「子供が何故増えないのか?」
ここを徹底的に議論すべきであり、その前にやるべきことがあると思います。
仮に、今回の提言通りに
「高齢者への財源を減らし、年金を減らし」「教育の無償化など若者への投資」などを積極的におこなったとしても、根本的な問題である、少子高齢化の問題は放置され、お金の流れだけが若者に流れる、そのような流れになるだけだと思います。
お年寄りに住みにくい社会になると、お金を持っているお年寄りは、続々と日本を脱出することもあり得ます。

恐らく「教育費さえ安ければもっと子供を産めたのに!」
このような声が社会にあり、これを実現するために、教育の無償化を含めた、子供の教育のための投資をより増やしていくことの重要性を主張しているのだと思いますが、もっともっとやるべきことはあると思います。

まず、
誰でも行ける大学が理想社会を作るのか?
→子供は減っているのに、大学の受け入れ人数が増えているのは異常ではないか?
大学の新陳代謝は必要ないのか?
→企業は倒産しているのに、大学の破綻はあまりない。天下りの温床になっていないか?
全ての家庭が教育の財政的援助が必要か?
→優秀で経済的に恵まれていない人を救済すればよいのではないか?

今回の提言の中で、「子供が産まれない社会」の問題については、何も検討がなされていないように思います。

「超高齢化社会」「歪な人口ピラミッド」「結果として高齢者への財政負担が大きくなっている」
諸悪の根源は、”子供が産まれないこと”ここに集約されるように思われます。

日本の婚外子率は2%であり、米国の40%、フランスの56%に比べても極めて低いです。
このような社会で子供を増やすためには、婚姻率を上げるしかありません。
前回の記事でも取り上げました。
激突 ”妻 vs 夫” 「こども戦争」 もう一人だめですか?
1972年~1994年ごろにおこなわれた社会制度改革が、結婚難民を作り、子供が産まれない社会を助長しているのだと思います。

この期間におこなれたことは、
”女性の社会進出”を「善」として、女性の立場向上を目指してきました。
女性の給与はかなり改善され、少しずつ男性に近づきつつあります。
男女平等という観点からは、これらは正当なことでありこれまでが異常であった、その一言で片づけられてしまう恐れがあります。
女性が社会的に立場が向上し、経済的に豊かになったことによって、男性の立場は弱くなり経済的にも苦しくなってきました。以前は、夫だけの給与で養えたはずが、今では夫と妻が共同で働かなければ生活の維持ができない、そのような家庭が増えていると思います。
今回のプロジェクト参加メンバーやヒアリングした大学の先生方の中で、夫の収入だけでやっていけない家庭がどの程度あるのでしょうか?まだ結婚していない若手次官も多いと思いますが、恐らく経済的にかなり恵まれていることが考えられます。

”女性の社会進出”を支援するために法整備が先行しておこなわれており、会社や社会も、それが「善」として、取り扱っておりますが、このような状況に陥っているから、保育所問題など、かつては大きな問題にならなかったことがクローズアップされております。
「専業主婦は贅沢だ」、今では女性は働くのが当たり前のように、思われておりますが、現在でも専業主婦希望者は多いのが現実です。

何故、少子高齢化社会になったのか?
→子供が産まれないかから
何故、子供が産まれないか?
→婚外子率の低い日本で、婚姻率が下がったから
何故、婚姻率が下がったのか?
→20代の結婚希望率は極めて高いが、アンマッチが発生しているから
何故、アンマッチが発生しているのか
→女性:理想の相手がいない
→男性;経済的に余裕がない 

<女性続き>
何故、理想の相手がいないのか?
→自分よりも社会的にも経済的にも上位の人を希望するが、そのような方は既に結婚している
何故、社会的にも経済的も上位の人でなければならないのか?
→安易な妥協はしたくない
自分が家庭の大黒柱になり養う気はないのか?
→考えたことがないし、両親も恐らく反対する
「そのような方は既に結婚している」と答えているが、過去にはそのような人はいたのか?
→過去にはいたが、現在はいない
いつごろか?
→20代の前半~半ば頃
その頃は結婚は考えなかったのか?
→まだ若いし、20代後半になって探せばよい。今は仕事を身に着けるときと考えて行動はしなかった

<男性続き>
経済的に余裕がなくても結婚している人がいるがどう思うか?
→結婚はしたいが、もう少し経済的に余裕ができてから、結婚をしたいと考えている
自分より社会的な立場が上で経済的に余裕がある人と結婚したら、経済的な問題が緩和されないか?
→自身の家庭内の立場を考えると、自分より社会的・経済的に上の人と結婚することはできれば避けたい。
それに仮に、自分が”専業主夫”でも良いと考えても、それを受け入れる女性はまず見つからない

1972年ころからの急速な社会性と改革で、女性の地位向上は少しづつ実現して、女性にとってはこれまで以上に働きやすい環境が整いつつあると思います。豊かになった女性たちは幸せになったでしょうか?
職業別未婚率についていかがでしょうか?
生涯未婚率は職業によってこんなに違う | ビジネス | 最新記事 | ニューズ
そりゃあんまりな「職業別・年収別の未婚率」 | プレジデントオンライン
これらのデータから言えることは、女性は「収入が多い男性を好み」「高収入の女性は敬遠される」このような傾向が見て取られます。
社会制度は変わっても、「結婚観においては旧来のジェンダー(社会的な”性”による役割分担)が残っています」といずれの文章も、結婚観のあり方に疑問視をしておりますが、当事者であればやはり旧来ジェンダーにこだわるのではないでしょうか?
女医や女性の弁護士の方が、フリーターの男性と結婚して今では夫に家庭を守ってもらっている、なんて話は殆ど聞いたことがありません。

婚姻率を上がるためには、男女のマッチングを増やすしかありません。
そのためには、その結婚できない原因を除去しなければなりません。

今後も女性の社会進出を促進する社会が進めば、婚姻率はさらに低下すると考えられます。
軽々しく、結婚観における旧来のジェンダーを批判しても、これは簡単には変わらないと思います。
むしろ、旧来のジェンダーを尊重して、社会制度そのものを昔に戻すほうが、婚姻率が上がり子供が増える成功の可能性は高いかもしれません。

今回のプロジェクトに参加している若手次官の中には当然独身女性もいるでしょう。これらの方が、年収200万円程度のアルバイト男性と結婚することが可能か?恐らく男性の場合は女性の収入は関係ありませんので全く問題ないと思います。

旧来のジェンダーを批判して、女性社会進出を「善」とする社会を実現するためには、女性の結婚観に関する考え方を根本的に変えていき、「私が養う」「僕が家を守ってもいいよ」このような人が増えないと一向に解決しないと思われます。

それともう1点は、高齢出産(マル高)の厳しさの理解を社会全体に広め、「早めの結婚、早めの出産」を推奨する社会にならないと、30代後半で結婚しても多くの子供は産めないことを多くの方に知ってもらうことが大切であると思います。35歳以上の初産にはリスクが伴います。
統計の数字によると独身者の結婚後の子供の希望人数は殆どケースで2人を越えています。
私自身も、結婚したらすぐに子供ができると思っておりましたが、実はそう簡単にはできないものです。何年もかかり、子供を授かるのに5年も10年もかかる人もいます。
そのように考えると、20代のうちに結婚して子供を産むためには、それなりに早め早めに結婚に向けた活動をはじめなければなりません。
女性の社会進出により、女性はキャリアを積む、より多くの収入と社会的な立場を求めて活動しておりますが、この点も結婚時期を遅らせて、子供数が減っている原因の一つであると思います。

今回のプロジェクトの提言はごもっともであり、参考なる点が多いですが、
「子供をいかに増やすか?」この視点で、さらに切り込んで議論を進めていただきたいと思います。


社会・経済ランキング

クリックのご協力をよろしくお願いします


スポンサードリンク