世阿弥の「花鏡」の中で
”離見の見にて見るところは すなわち、見所同心の見なり”の一文があります。

世阿弥は室町時代初期の猿楽師で、父の観阿弥とともに猿楽(現在の能)を大成し、多くの書を残している。数多くの謡曲(能における脚本)とともに、芸道論としての「風姿花伝」や「花鏡」などは文学的価値も高く。当時の芸術や思想知る上で重要な歴史資料とも言えます。

先に挙げた一文の意訳としては
”本来見えなかったもの、それを見える化すること。自身の行動を客観視することが大切である”
このように説明することができると思います。
昨今の経営論などにおいても「見える化」については、よく取り上げられますが、既に世阿弥がこの重要性に気付いていたようです。  


再び、財産告白の話題に戻ります。   
お金が貯まらない人や無駄な散財が多いと悩んでいる人は、自分自身が何にいくら使っているのかがわかっていないケースが多いと思います。確実にすべての支払い履歴を取るためには、クレジット払いの徹底も重要な方法であるとは思いますが、実績は正確に把握ができますが、クレジット払いに対応していないケースもありますし、その支払いが、どのような目的であるかを分類して行うためには、家計簿をつけることが大切であると思います。ここでは私が学生時代に実践した方法をお知らせします。

項目を分類する
「衣料費」「食費」「住居費」「交際費」「交通費」「勉強費」「教養・娯楽費」「医療費」「嗜好品費」「雑費」などに分類しました。

「衣料費」について
これについては数か月1回発生する程度で、特に特徴はありません。ズボンの裾上げが有料の場合は、自宅に持ち帰り自分でおこなっていました。古着を買ったこともあります。年間を通しても大きな額にはなっておりませんので、ここでの削減効果は少なかったです。もし、毎月1万円以上発生している場合は見直しが必要でしょう。

「食費」について
ここは全ての人が必要なことですので、ここをいかに工夫するかでの効果は絶大であると思います。
私は原則「自炊」これを徹底していました。コンビニ弁当などを買ったことはまずなかったと思います。野菜、肉、米、小麦粉、麺、調味料などは購入しますが、総菜なども購入しません。土日に鍋いっぱいの料理を作り、それを少しずつ食べていく方法も取りました。
外食は極力しませんが、学食はコストパフォーマンスが高いので、利用することがありました。
また、アルバイトではできるだけ食事つきのものを選択しました。これによって、食費は抑えられます。
お菓子や果物は、まず買いません。ジュースも買いません。
自炊で料理をするので、牛乳が必要なことが多かったです。この際は、スキムミルクを使用しておりました。スキムミルクは、今は数も減り、価格も上がっておりましたが、以前は500gで200~300円で買えた記憶があります。200~300円で1か月持つとするとかなり安くなります。
他には学生ですしお金がありませんから、パンの耳を破格値で購入しておりました。パンの2斤くらいの量を10円などです。パン屋によっては、「自由にお持ち帰りください」と書かれ募金箱がおいてるケースもあり、ここで募金してもらったこともあります。
近所にディスカウントの八百屋がありました。ここもよく利用しておりました。
肉については、ホルモンなどの肉類が(おそらく廃棄するのでしょうが)、100g10円で売っている肉屋がありました。
2~3か月に1回程度実家より、段ボール箱いっぱいの食料品が送られてきました、これにも助けてもらいました。
食費については月間1万円~2万円で済ませておりました。これも、毎月きちんと家計簿つけておりましたので正確な数字がわかります。

「住居費」については
一般的な家計簿であれば、必ず光熱費が記載されていると思いますが、これがありません。
その理由は住居費5,000円の中に光熱費が含まれておりますので、記載する必要がありませんでした。
大学の寮については、住居費が2,000~3,000円でした。ここでも光熱費は含まれておりましたが、食費やおそらく多く発生するであろう交際費や自由な自分の時間の確保という点では、民間の下宿で良かったのだと思います。

「交際費」について
飲み会などはこれに入れていました。たまに誘われて外食に行く場合があります。この場合は交際費に入れておりました。
大学より少し離れていたところにファミリーレストランがありました。ここで友達とコーヒーを飲みながら何時間も話をした記憶があります。この回数は結構多かったかもしれません。
それでも、月間の交際費は1,000~5,000円程度ではなかったのではないでしょうか?
大学時代を通じても交際費として月間1万円を超えたのは旅行に行ったときくらいだと思います。

「交通費」について
正確な数字は覚えておりませんが、基本は歩いていました。下宿から大学まで45分ほどかかっていましたが、歩いていました。”哲学者はよく散歩をする”などと言いますが、45分は常にいろいろと考えたりする時間であったので、有意義な時間であったと思いました。二宮尊徳のように本を読みながら歩くことはありませんでした。
今となって思えば、自転車を買って行動すれば時間短縮ができたと思いますが、坂が多かったので、思いつきませんでした。

「勉強費」について
ここでは、学費や学校の授業などで使用する書籍、文具類が入っております。
大学入学時の入学金や前期の学費は親に支払ってもらいましたが、その後の学費は全て私自身で支払うことになっておりました。しかし、このお金は支払っておりません。
実は「学費全額免除」を受けておりました。
現在でも、多くの大学で学費免除の制度があると思います。ただし条件があります。「親の年収が低い」「家族の数が多い」「一人暮らし」「成績がある程度以上」など、これは各学校で運用るルールがあると思いますので、確認をしてください。
親の年収が年間200~300万円で家族6人の世帯だったので、「学費全額免除」の対象でした。多くの家庭で少なくとも500万円くらいの世帯収入があるのではないでしょうか?
学費はゼロ円であり、授業で使用するテキストもほとんど買いませんでした。大学には、教養学部をはじめ、複数の図書館がありましたの、授業のテキストはほとんどどこかの図書館に蔵書がありました。これを活用することで、テキストなしで終えたことが多いです。ただし、図書館から借りることができず買うことも何度かありました。

「教養・娯楽費」について
ここでは書籍を買うことが多かったと思います。
”大学の図書館を利用するのでは?”前の説明に矛盾すると思われる点もあると思いますが、どうしても欲しい本は購入しました。
また、書籍との出会いは「計画するのではなく、偶然に訪れる」このような考え方があったため、古本屋でランダムに並べられたなかから面白い1冊を選択して購入することが多かったと思います。

「医療費」について
特に何かにつかったという記憶はありません。
大学には保健センターみたいなところがあり、そこに常駐の医師がいたと思います。
少し体調が悪いなと思ったときは、まず病院に行かず、そこの保健センターの医師に診てもらったと思います。

「嗜好品費」について
ここの金額が大きくなることはありませんでした。
お菓子、(自宅での)飲酒、たばこなどが該当するのかもしれませんがほとんど記載することがありません。
ここの数字は、自分自身でコントロールできる部分です。月間1万円以上を超える場合は問題があると思います。見直しが必要です。

「雑費」について
当時の記録が残っておりませんで、記憶の範囲でしか答えられません。
恐らく昨今の大学生の毎月の使用料として大きいものに、「携帯(スマホ)料金」があるのではないでしょうか?
当時は携帯やスマホがなかったので、これらの通信費はありません。
いわゆる”通信費”に分類されるであろう、公衆電話の料金や葉書、切手代等は、「雑費」のなかに入れておりました。
月間の雑費は0~1,500円程度はなかったでしょうか?
大学時代に電化製品を購入することもほとんどなく、1000円くらいのラジオと1,000~2,000円で購入した中古の電気ストーブはこの中に入っています。
田舎の実家より、鍋やフライパン、お皿、茶碗、布団などが送られてきておりましたので、これらを購入することもありませんでした。
トイレットペーパーについても下宿でしたので、私のほうで準備する必要がなかったと記憶しております。

毎月の出費について
毎月正確に家計簿をつけるので各項目ごとに、正確な数字がわかります。これを見ながら、今月の反省と来月の方針などを考えることができました。
その結果、コストを極めて低く抑えることができました。
毎月出費は総額で、
20,000~30,000円で抑えることができました。
旅行などで大きな出費が発生する月は、この枠内で抑えることができないことは数度あったかもしれませんが、
殆どの月で、総額の出費が30,000円以下となり。
常にアルバイトによる収入が、出費を上回っておりました。

親からの仕送りがない状況で、県外の大学に行くのは極めて稀なケースであると思います。
大学時代にエンジョイしたいと思いっきり羽を伸ばし、遊びに勉強にと精を出している方も多いと思います。
”そんなお金のない生活はさぞか辛く苦痛ではないでしょうか?”と思う方がいるかもしれませんが、そんなことは一切ありません。
本をたくさん読む時間が確保できましたし、他の人に描きわ回れることも少なかったと思います。お金のかかる交流は最初から避けておりますので、これらの交流はほとんど発生しません。
もし、”緊縮財政を継続する秘訣は何ですか?”と聞かれたら、このようにこたえたいと思います。

「決して、現状の生活を嘆かず、プラスの点を沢山見つけて、そこに楽しみを見つけてください。
”この生活を強いられるのは親のせいだ”などと、マイナスにとらえ愚痴を続けていると、決して長くは続きません。
”厳しい家計の中から、大学に行かせてくれてありがとう”このように考えることで、
気持ちが楽となり感謝の気持ちが芽生え、新生活を楽しく過ごせるのだと思います。」

仕送りなし一人暮らしでやりくりができた理由がわかっていただけましたでしょうか?
家計簿をつけて、自分自身の生活を「見える化」して、客観視することで、何をどうすればよいかがわかると思います。

次回は、家計簿記入後の運用について触れてみたいと思います。

尚、
近々、ブログのアドレスを変更する計画でおります。
現在:http://livedoor-blog.zakzak.club/
今後:http://okane-blog.zakzak.club/

どうぞよろしくお願いいたします。


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