昔、中国北方に老人(塞翁)が住んでいました。ある時老人の馬が、異民族の住む北方の胡へ逃げました。人々が気の毒がり、老人を慰めました。すると老人は
  「このことが幸福にならないとは限らない」と言いました。
やがて、逃げ出した馬は胡の駿馬を沢山連れて帰ってきました。
そこで人々はお祝いに行くと、老人は
  「このことが幸福になるとは限らない」と言いました。
しばらくすると、今度は老人の息子が、落馬して足の骨を折りました。
 人々がそれを見舞うと、老人は
 

 「このことが幸福にならないとは限らない」と言いました。
一年が経った頃、北方の胡軍が攻め込んできて戦争となり若者たちはほとんどが戦死しましたが、老人の息子は足の骨を折り兵役を免れたため、戦死せずに生き残りました。

禍福は糾える縄の如しと申しますが、人生何が幸福で何が不幸であるかは最後まで分からないものです。
前回のブログでお伝えしましたが、弟が交通事故に遭い3日ほど、意識不明の重体でした。脳への出血があり脳の一部に損傷もあり、「意識はおそらく戻らない」と医師から言われておりました。それが、どうでしょう、事故より1週間ほど経過した現在においては、ほぼ正常に話ができるようになりました。
しかし、医師からは「現在は脳の痙攣を抑える薬を飲んでもらっている。これを止めたときに痙攣が再発するようであれば日常生活をおこなうことはかなり難しい」このように言われました。
まだまだ、どうなるのか、予断を許さない状況です。
今、わかっていることは、何とか死なずに済んだことです。

事故の状況は最終的には警察が判断することです。被害者ではありますが、先方の保険金から1円も下りないことも考えて今後のお金のやりくについて調べてみました。
私は、社労士でも何でもありませんので、間違えていることも沢山あるかもしれません。素人がネットの力を借りて調べた、障害年金や給付金についての情報です。ご参考になればと思い、記載いたします。

社会保険制度
 年金保険  会社で入る「厚生年金」 個人や自営業者が入る「国民年金」 公務員の入る「共済年金」
 医療保険  会社で入る「健康保険」 個人や自営業者が入る「国民健康保険」
 介護保険
 雇用保険
 労働者災害保険(労災)

我が国には5種類の保険制度が準備されており、これらを活用することでかなりの部分をカバーすることが可能です。
通常、事故が発生した場合はそれが、「業務上であるか?」「業務外であるか?」でその後の対応が異なります。業務上であれば→「労働者災害保険(労災)」、業務外であれば「健康保険」や「国民健康保険」となります。
例えば、アルバイトで生計を立てている人が、国民健康保険を滞納しておりました。その方が事故に遭いました。通常は健康保険なしのために10割自己負担となりますが、業務上の事故であれば、労災が認定され給付が受けられます。

通勤中の事故は「労災」での対応となりますが、実は通勤中の事故であるか、通勤以外の業務上の事故であるかで処理が異なります。通勤中は「通勤災害」それ以外は「業務災害」となります。
労災は、正社員でなくても、パートやアルバイトでも事故が発生したときは給付が受けられます。労災は全額事業主負担です。入っていない会社は法令違反であり、仮に会社が入っていない場合でも、個人で労基署に請求できます。

入院後の療養費については、手術費用も含めすべて労災よりでます、これを”療養の給付”と言います。ただし、食事代など直接治療とは関係ないものについては、は労災からは出ません。これらについては、健康保険の給付でカバーすることができるようです。

事故等で入院した場合は仕事を休むこととなります、その間の家族の生活費をどうするかが問題になってきます。これについても労災や健康保険でカバーができます。業務上事故の場合は労災より「休業補償給付」(ただし、通勤災害の場合は「休業給付」)、業務以外の事故の場合は「傷病手当金」が出ます。
「休業補償給付(休業給付)」の場合は、3か月間の賃金より”給付基礎日額”を出し、その額の60/100。
「障害手当金」の場合は、”標準報酬日額”の2/3。
さらには、これらの給付金や手当金には「特別支給金」という名称の20%の上乗せ給付があります。この申請は、「休業補償給付(休業給付)」を請求すれば、同時に申請したことになるので、個別に申請する必要がありません。
よって、、「休業補償給付(休業給付)」の例であれば、20万の給与を支給されていた人は、80%の16万円給付金として支払われることになります。

「休業補償給付(休業給付)」は「労働可と診断さえれたとき」か「完治または症状固定」となったときや、療養開始後1年半でも打ち切られます。
ただし、労災では、1年半経過して、傷病等級が1~3級に該当する場合は、「傷病補償年金」が準備されております。1年半経過後、1か月以内に「傷病の状態に関する届」を労基署に提出しなければなりません。
「傷病補償年金」には、特別支給金である「傷病特別支給金」とボーナス特別支給金である「傷病特別年金」がプレスされます。これらの額は、傷病等級によって決まります。

こらら以外でも健康保険より「障害基礎年金」「障害厚生年金」「障害共済年金」が準備されております。これらの年金は、「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2階建ての支給が可能となる。障害基礎年金の場合は1等級が年間99万5千125円、2等級が78万100円、18歳以下の子供がいる場合は一人当たり22万4千500円が加算されます。「障害厚生年金」は「障害基礎年金」と2階建てでさらに加算され、配偶者がいる場合は22万4千500円が加算されます。

調べていくと、「出てくる」「出てくる」、驚きです。
よく、損保や生命保険のCMで「入院特約」のことを伝えていることを目にします。国の保険制度に詳しくない方は、これらの保険特約を魅力的なもの、必須のもとして考えがちですが、本当に必要なのでしょうか?
事故発生後、私が損保の担当者と電話でやり取りをしております。
保険証書には、「最大300万支払う」と書かれておりますが、電話で話すと「最大で100万円しか支払いません」と説明が変わっております。詳しい説明を求めると「約款」に「死亡の場合のみ300万と書かれております」とのらりくらりと、話をそらそうとします。証書のどこにも、100万円と300万円の説明はないのです。
おまけに、「飲酒運転が発覚した場合は1円も支払いません」と書かれております。
今回は、飲酒運転はなかったので、この点は大丈夫ですが、保険会社のビジネスライクな支援に対して、国の保険制度がいかに充実しているかを改めて知ることができました。

弟の事故というつらい事実はありましたが、新たないろいろなことをすることができた、この点においては大きな収穫でした。
弟とは、もう何年も会っておりませんでしたし、毎日じっくり話ができたのは、実に20~30年ぶりです。
病気の治療は何か月もかかるかもしれませんし、完治はできないかもしれません。
それでも、この期間を通じて弟自身も、いろいろと考えたり、退院後の働き方について考えることができるようになると思いますし、兄弟の会話が増えていきそうな気がします。

禍福は糾える縄の如し。
今回の事故は、これからきっと幸福が始まる、スタートなのかもしれません。



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